再会編 (バシュバル+四カカ) 第1話

アルケイディスのヴェント武器店の扉を開けようとしたバルフレアは、はっと目の前の男と目があった。
 
 (誰だっけ・・・?)
その男もじっとこっちを見つめている。
 
 (・・・思い出せない・・・)
しばしの沈黙の後、二人は同時に声をあげた。
「ファムラン?」
「カカシ?」
お互いにっこり笑って肩を抱き合った。
「久しぶりだな〜、カカシ、いつこっちへ? また任務か?」
「あぁ、まっ、そんなとこ。ファムランこそ、背が伸びたね〜」
「今は、色々あってな、バルフレアって名乗ってるんだ。この店で買い物か?」
「うん、本当はさ、ラーサー陛下に親書を届けに来たんだけど、
 あんな遠い遠い東の果ての国の親書なんて受けとってくれるかなって、ちょっと心配になっちゃってさ、オレ、見た目こ
 んなだし・・・とりあえず、服は買ったんだけど、後は飾りでもいいから何か武器の一つでも身に付けて行った方がいい
 かな〜なんて思ったりしてたとこ」
カカシは頭を掻きながら、照れ笑いを見せた。
「カカシなら、見た目も何も心配ないぜ。それに、あのガキは可愛くねぇが格好で人を見たりしないヤツだし」
「あのガキ〜!? いいの? そんなこと言って?」
「あぁ、まっ、オレが色々面倒見てやったしな。会いたいなら会わせてやってもいいぜ」
「そっ、そんな簡単に会ってもらえるの?」
「任せろよ! トモダチがいるから、顔は利くし」
「さすが、ファムランだね〜! じゃぁお願いしようかな」
「その前に、腹減ってないか? 飯食ってから行こうぜ」
「う〜ん・・・ お腹は空いてないけど・・・ オレいちよう任務で来てるからさ、
 先にこれ渡してからゆっくりしたいな。 早く楽になりたいよ」
「そうだな、その方が酒も飲めるしな。よし、ちゃっちゃと終わらせよう」
バルフレアは携帯を取り出し、トモダチに電話する。
「あぁ、あのガキに会いたいって、東の国の国王の親書持った友達が来てるんだ。
 アポ取ってくれよ。 うん・・・そう・・・OK?じゃぁ、今から行くからな」
バルフレアはまるで本当の友達にでも会いに行くような会話で国王陛下との拝謁の時間を取ってくれたのだ。
カカシはびっくりした。
「ファム、凄〜い! 本当に会っていただけるの?」
「丁度、3時のおやつの時間なんだと。 偶々何の予定も入ってなかったらしい。
 ラッキーだったな。 さぁ、行こう! そこにオレのエアバイク停めてあるんだ。
王宮まで一っ飛びて行けるから」
「えっ、このまま? いくら何でも忍服じゃあね。 ちょっと着替えたいんだけど」
「そのままで平気! 平気! カカシならどんな格好だって、問題ないさ」
「そっ・・・ そうなの?」
「ほら、しっかり掴まってろよ」
そう言って、バルフレアはエアバイクの後ろにカカシを乗せ、王宮までもの凄いスピードで飛んで行った。
まるで自分の家にでもあがるように平気な顔をして、王宮に入る。
厳かな鎧を身につけたトモダチが兜を取り、丁重に迎えてくれた。
バルフレアがカカシを紹介する。
「オレの友達、カカシだ。 あのガキに何か渡したいんだと」
カカシは深々と頭を下げて挨拶をした。
「この度は、突然失礼だと思いますが、火の国の国王の親書をラーサー陛下に・・・」
「カカシさん、そんな堅い挨拶は結構ですよ。 陛下は気さくなお方ですから。
 バルフレアの友達だと申しましたら、是非お会いしたいとおっしゃってます。
 さあ、こちらへ、どうぞ」
「オレはここで待ってるから、さっさと済ませて来いよ」
「君も一緒にだ、バルフレア。 たまには陛下に顔を見せてやってくれ」
「はぁ・・・ あのガキはどうも苦手なんだ」
「特別に時間を取ったんだからな、少しは私の顔も立ててくれ」
「だって、アイツ・・・ オレとアンタのことイジメルの趣味だしな・・・」
二人の表情を交互に見ながら、会話を聞き、「なるほどね〜」とカカシにはピンとくるものがあった。
ファムランがこんな優しい顔を見せるんだなと微笑ましく思えたし、そして、この二人をイジメルっていったいどんな陛下よと楽しみにも思えた。
「オレも君が一緒に来てくれた方が緊張しなくて済むかも。 頼むよ、バルフレア!」
「はいはい、分かったよ」
それから、カカシは無事火の国の国王の親書をラーサー陛下に手渡すことが出来た。
バルフレアとの会話を聞いているとなるほどこれはバルフレアがイジメられているようだと可笑しくなったり、この歳でこれだけのやり取りが出来るのはさすがだなと関心したり。
ラーサーもカカシのことがとても気に入ったらしく、夕食に招いてくれた。
しかし、バルフレアは、
「お子様と酒を飲んでもちっとも美味くねぇ」とあっさり断ったのだ。
さすがにカカシもそれはまずいんじゃないのかと思ったが、ラーサー陛下は、
「では、明日、親書のお返事をさせていただきますので、今度は私とカカシさんと二人で」
と、にっこり笑って言った。
「あ〜あ、カカシ、気をつけろよ〜 さっ、もう用事は済んだんだ。 帰るぜ」
と、バルフレアは手をひらひらと振って、扉に向かって歩き始めた。
バルフレアの態度にカカシはびっくりしたが、この3人は深い信頼関係で結ばれているんだろうなと感じた。
「ありがとうございました」
カカシはその場で頭を下げたまま、どうしたものかと迷っていたら、
ラーサー陛下は鎧の側近に向かって、
「あなたも今日は仕事はもうこれで終わりにしていいですよ」
「陛下・・・ 私はまだ、やらねばならないことが少々残ってて・・・」
「カカシさんとゆっくりお酒でも飲んでください、私ではお相手出来ませんからね。
 あなたのオトモダチとも」
「へっ、陛下・・・!!」
何も言い返すことが出来ずにバルフレアのトモダチは、顔を赤くしたままカカシと一緒に拝謁の間から下がったのだった。
それから、街に戻り、食事をしようと店に入った。
バルフレアはカカシのお土産に自分のお気に入りの銃をプレゼントした。
written by あっきぃ
painted by gule-nana




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