再会編 (バシュバル+四カカ) 第2話

「へぇ〜 こっちにもこんな店があるんだ〜 まるで木ノ葉の居酒屋みたいだな」
「まあな、何でもあるさ、この国は」
二人は、適当につまみを注文し、お酒を飲み始めた。
「あれ、そういえばあのオトモダチは?」
「あぁ、後から来るから。仕事の指示だけしとかないとって、クソ真面目な奴なんだよ。
 折角帰っていいって言われたんだから、さっさと帰ればいいのにな」
「いいんじゃない、クソ真面目で。 バルとはお似合いだよ」
「はぁっ? 何それ? まるでオレが真面目じゃないみたいな言い方」
「えっ? そーなんだ、真面目なんだ」
二人ではははと笑って、他愛もない話で酒が進んだ。
バルフレアはカカシにプレゼントした銃を取り出し、あちこち確認するように眺めながら、話し続けた。
「これが、去年出た最新型のアルテバランY。攻撃力は半端じゃねぇぞ。いいだろ〜? 
 今まで最強だったフォーマルハウトよりも少し軽くなって使い勝手もいいし。
 メンテナンスはオレがやってやるから、たまに持って来いよ」
「ありがとう。それからもう一つ、折角、ここでバルに会えたからさ、お願いがあるんだけど・・・」
「何だよ?」
「ミストナック教えてよ」
「はっ・・・?」
「謀逆のアスベクトってのがいいな〜 」
「いや無理だろ・・・」
「大丈〜夫! 写輪眼でコピるから」
「写輪眼てそんなに何でもコピれるのか?」
「まあね・・・ あれ、星が降ってくるんでしょ? オレ、土遁系得意だし」
「土遁かねぇ・・・」
「そっだ! お礼に雷切教えてあげるよ! こっちでも雷系の魔法あるでしょ」
「あぁ、サンダガっていうんだ」 
「雷切は結構威力あるんだよ。ミストナックと合わせたら、超強いと思うよ」
「でも・・・ オレはあんまり魔法は使わないし・・・」
「もしかして、まだ苦手なの?」
カカシはファムランと出会った頃のあの日々のことを懐かしく思い出した。
あれは、6年前の夏、カカシは三代目の依頼でバルフレアの父、ドクター・シドを尋ねていた。
初代火影が残した尾獣のチャクラをコントロール出来る鉱石の鑑定と出来ればその鉱石を人工的に作り出すことが出来ないものかとの依頼をしたのだ。
少し時間が掛かるとのことで、シドは鑑定の間、もうすぐジャッジになるというファムランの相手をして欲しいとの条件を出し、カカシはシドの家に留まることになったのだ。
元々運動神経抜群だったファムランは武道や体術に関しては、カカシが教えるまでもなくカカシ相手にでも見事な腕前を見せていたが、魔法だけは、どうもセンスがなかったらしい。
カカシは、一生懸命に簡単な忍術を教えてあげたのに、魔法が苦手だったファムランは結局何も覚えられなかったのを思い出し、くすりと笑った。
「何思い出し笑いしてんだよ」
「あは〜 ごめん、ごめん! あの夏は楽しかったな〜ってね」
「いいんだよ、魔法なんてものは、得意なヤツに任せておけばいいんだ。
 別に、オレはこれさえあれば大抵のものはやれるからな」
そう言って、バルフレアは銃を愛おしそうに撫でた。
「そういや、カカシはいつまで居られるんだ?」
「こっちに来るまでは一週間はかかったけど、帰りは来る時に飛雷神の術の札を貼って来たから、
だいぶ短縮出来ると思う。 だからその分はこっちでゆっくりするつもりだよ」
「シュトラールで送ってやるぜ。 一っ飛びすれば半日もあれば着くだろ?」
「わ〜 ホントにいいの? だったらもっとゆっくり出来るし」
「フォーンあたりまで飛んで水浴びでもするか?」
「いいねぇ〜 でも、その前にちゃんとミストナック教えてよ!」
「あぁ、ここから歩いて行けるソーヘンって地下宮殿があるんだ。腕慣らしするには
 丁度いい。 そこでコピらせてやるよ」
「サンキュ!」
「決めセリフもちゃんと言うんだぜ」
「へ〜 そんなのあるの?」
「オレを誰だと思ってる?ってな」
「ぷっ・・・ 面白い! バルらしいね〜」
それから、お互いの技のことで話が盛り上がった。
しばらくして、カカシははっと思い出したようにポーチから1冊の本を取り出した。
「そうだ、この本あげるよ! オレの先生の先生の本なんだ」
バルフレアはぱらぱらとページを捲って少し読んでみた。
「なっ・・・ 何これ・・・ すごくね?」 
「ふふふ〜 いいでしょ〜 色々役に立つところもあるからさ、面白いと思うよ」
二人して、イチャパラを捲ってはにんまりしているところへ、バッシュが現れた。
「遅くなってすまなかったな」
顔を赤くして、慌ててイチャパラをポケットに隠すバルフレア。
まるで悪戯を見つかってしまったかのように照れ笑いでごまかすバルフレアを見て、カカシは思わず噴出しそうになった。
見かけは大人になったものの、こんなところは、6年前のファムランだった頃と全然変わっていない。
それから、昔話に花が咲き、お酒もどんどん進んだ。
飛空艇の話を瞳をキラキラと輝かせて話すバルフレアとそんなバルフレアを優しく見守るバッシュを見て、お酒がまわってきたのかカカシも何だか胸が温かくなってきた。
遠く距離は離れてても、何年も会ってなくても、こんな風に話が出来るバルフレアとの付き合いをカカシはこれからも大事にしていきたいと心から思った。
 


written by あっきぃ
painted by gule-nana




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