再会編 (バシュバル+四カカ) 第3話

バルフレアは時計をちらりと見て、そろそろこの店はおしまいにして、後は家に帰ってゆっくり飲みたいと思った。
「カカシ、そういやお前、今日はどこに泊まるんだ?」
「えっと・・・ さっきラーサー様からここに泊まってって、こんなの渡されたけど」
カカシはポケットから封筒を取り出し、バルフレアに渡した。
「あぁ、ここは国賓が泊まる迎賓館だぜ。 そんなお堅いところは止めとけ。 ウチに来いよ」
「でも、折角ラーサー様のお招きなんですから、今晩くらいはお泊りになったらどうですか?」
と、バッシュが困ったような顔でカカシを見る。
「へっ、そんなの無〜視〜」
バルフレアはバッシュの顔の前でおおげさに手をひらひらと振った。
カカシはどうしたものかと二人の顔を交互に見つめた。
「まったく君は・・・ 少しはラーサー様のお気持ちも考えてくれてもいいのではないか?」
「はぁっ? オレの方がカカシとの付き合いは長いんだぜ?」
「しかしだな・・・ カカシさんはラーサー様にとっては大事なお客様で・・・」
「カカシは長旅で疲れてるんだ。 あんなとこに泊まったら肩凝っちまう。
 オレん家でゆっくりした方がいいに決まってるさ。 バッシュから断っておいてくれよ!」
一度言い出したら聞かないバルフレアにバッシュも呆れている。
「カカシさん、本当にいいんですか?」
「いや、オレは寝れればどこでもいいんですけどね」
「どこでもいいとか言うなよ、カカシ。 ウチに泊まる、はい、もう決まりな!」
「じゃぁ、そうさせてもらうよ。 それにラーサー様とは明日、食事するとか言ってたしね」
「そうだよ、バッシュ、今晩あのガキが来るわけじゃないんだ。 よし、そうと決まったら帰ろうぜ」

バルフレアは立ち上がろうとしたら、足元がふらついて、ドスンともう一度椅子に座ってしまった。
「バル、大丈夫?」
「珍しいな、君がそんなになるなんて」
カカシとバッシュが心配そうにバルフレアの顔を覗く。
「はぁ・・・ 結構効くのな、日本酒って」
日本酒と洋酒をちゃんぽんにして飲んだのがかなり効いたようだ。
「私が送ろう」
バッシュがバルフレアに肩に腕を回した。
「いいよ、一人で歩ける」
腕を払うもののまだ足元がふらついている。
「バ〜ル、無理しないで甘えた方がいいんじゃな〜い?」
それから、いやだというバルフレアを無理やり抱きかかえるように、タクシーに乗り込み、
ブナンザ家の豪邸に戻った。

「わ〜 懐かしいな〜 相変わらずバルん家は広いね〜」
「カカシ、悪い、オレ先にさっとシャワー浴びてくるから、その辺で適当に座っててくれ。
 バッシュ、すぐ帰るとか言うなよ! オレが上がるまでカカシの相手しててくれよな」
「いやぁ、オレは別に一人でも全然平気だから。 それより、バルこそそんなふらついてて、一人でシャワーなんて浴びて大丈夫なの?
 バッシュさんに一緒に入ってもらった方がいいんじゃないの〜?」
カカシはバルフレアをからかうように言った。
「ばっ、ばかやろう! なっ、何言ってるんだ! シャワーくらいどうってことないって!」
バルフレアは顔を真っ赤にして、首を振っている。
「どうぞ、遠慮しないでごゆっくり!」
「カカシさんが、折角そうおっしゃって下さるのだから、バルフレア、ここはお言葉に甘えて・・・」
「はぁっ? ちょっ、おまえバカか?」
「私は君がバスルームで転んで怪我でもしたら・・・」
真顔で答えるバッシュにカカシは可笑しくなってくすくす笑った。
「いいな〜 バルったら、バッシュさん優しくって。 ほらほら、行った、行った」
カカシは両手でぐぐっとバルフレアの背中を押した。
恥かしそうに俯くバルフレアをバッシュはしっかり抱きかかえるようにして歩き出した。
カカシはそんな二人を微笑ましく見送って、一人でリビングのふかふかのソファーにぼすんと腰を埋めた。




written by あっきぃ
painted by gule-nana




inserted by FC2 system