再会編 (バシュバル+四カカ) 第4話

しばらくすると、パジャマ姿のバルフレアとさっきと同じ服のバッシュが戻って来た。
「カカシも浴びて来いよ。 パジャマは出しておいたからな」
「えっ、バッシュさんは帰るの?」
「こいつは週末しか泊まらないんだよ。 平日は、ほら、仕事が朝早いからな・・・」
バルフレアは意味ありげにバッシュを横目でちらりと見て笑う。
「わっ、私はこれで失礼します。 カカシさん、ごゆっくりどうぞ。 明日、ラーサー様との会食がありますので、お昼前には迎えのものをこちらに寄越します。 
 バルフレア、あんまり夜更かししないで、カカシさんを早く休ませてくれよ」
「はいはい、分かってるって、ガキじゃねえんだから。 じゃなあな」
バルフレアはバッシュの唇にちゅっと触れ、おやすみのキスをした。
カカシはバッシュに頭を下げ、見送った。


「いい人だね〜 バッシュさん。 もっとお話したかったな〜 一緒には住まないの?」
「バ〜カ、一緒になんか住んだら、オレの身がもたねぇよ」
カカシにはその意味がしっかり分かって、思わず噴き出しそうになる。
「そっ、そうなんだ・・・ 何となく・・・ 分かる気がするよ・・・」
お互い顔を見合わせて笑った。

「じゃ、シャワー借りるね」
「あぁ、そこを右に行って一番奥のドアな」
カカシは言われた通りのドアを開けると、脱衣所だけでも10畳くらいはあって、さらにバスルームはそれ以上の広さで、ど〜んと真ん中に大きなジャグジーがある。
カカシはのんびりジャグジーに浸かり、先生のことを思い出していた。

(そうだ、久しぶりにここでゆっくり出来るんだから、先生も呼んであげようかな。
 先生、オレがバルのところ行ったって言ったら、たとえ任務と言っても、ずる〜いって怒られそうだし・・・ うん、そうしよっと)


さっと身体を洗い、風呂から上がって、バルフレアの用意してくれたパジャマに着替えた。
リビングに戻ると、バルフレアがまたお酒を飲もうとしていた。
「あ〜 こらこら、もう止めときなよ〜」
「風呂上りのビールなんて水みたいなもんさ。 大丈夫、シャワー浴びたら、すっかり酔いも覚めたし。 ほら、カカシも飲めよ」
そう言って、バルフレアはカカシに缶ビールを渡した。
「サンキュ」
カカシがソファーに座ってくつろいでいると、バルフレアが隣にやって来て、こっそりと
何やら隠し持っていたものを取り出し、口に当て話始めた。

  「ん! カカシ!」

それはまぎれもなく愛しいあの人の声だ。
カカシは飲んでいたビールを思わず噴き出した。

  「それぐらいになさい、カカシ」

バルフレアはわざと甘い声でカカシの耳元で囁いた。

「ちょっ! 何? 何? それ?」
「なんてな、驚いたろ? 仕事がらこういうのがあると、何かと便利でね」
「ねぇ、もう一回話してよ!」

  「何やってんだよ〜 カカシィ〜 オレに黙って一人で行くなんてずる〜い!」

「うわぁ〜 びっくりした〜! 先生そっくり!」
「変声機っていうんだ。 一度、録音した声はデータで全部残ってるからな。
 コードを押せば・・・ ほら、今度はカカシな」

コードを入力し、今度はカカシの声で話すバルフレア。

「データが無くても音声を作ることも出来るんだぜ」
「へぇ〜 凄いね! オレってこんな声してんのか。 ねっ、オレはもういいからさ、もう1回先生の声にして話してよ」

  「カカシ〜 オレに内緒で・・・ ダメだろ・・・ そんなことしちゃ・・・」

バルフレアが甘く囁く声にカカシは先生のことを思い出してしまう。
自分からもっとと強請ったのに、何だか危なくなってきた。

「ん、もう、いい・・・ 何か・・・ これ、ヤバイかも・・・」

  「ふふふ・・・ こらこら、何してんの? カ・カ・シ・・・」

「あ〜 もうダメだってば・・・」
カカシが変声機をバルフレアから取り上げようとする。
「ねぇ、これ欲しい」
「はぁっ?」
「ちゃんとお金払うから売ってよ」
「ったく・・・ 何に使う気だろうねぇ〜?」
「いや、その、ほら色々とね。 任務に役立ちそうだし」
「任務ねぇ〜」
バルフレアが意味ありげに笑う。
「本当だってば!」
カカシは顔を真っ赤にして答えた。
「はいはい、新しいやつもう1個持ってるからあげるよ」
「本当?」
「あぁ」
「サンキュ、バル!」
カカシは嬉しそうに、バルフレアにお礼を言った。

「明日は、ソーへンに行って、ちょいと暴れてくるか!」
「うん、ミストナック教えてね」

果たして、カカシが変声器を任務に使ったかどうかは・・・ ヒ・ミ・ツ・・・!?




written by あっきぃ
painted by gule-nana


end



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