Peach Angel Fantasy (ブナンザ親子+四カカ) 第2話

ミナトは、まだ出合ったばかりだというのに、直感的にシドとは話が合うような気がした。
本来なら、秘伝である自分の術の原理を他人にそう簡単に話すことはしない。 
でも、こんな離れたところで、ましてやこの巨大な国相手に戦うこともないだろうし、飛空艇の設計をしているくらいだから、物理学にも詳しいだろう。 何より、自分にもシドから得るものがあるだろうと思ったから、話ても構わないと判断したのだ。

話始めると、思った通りシドはすべてを理解し、いろんな質問をしてきた。 逆にシドの理論に思わず頷くようなところもあり、話がどんどん弾んだ。 二人共、話に夢中になってしまった。

カカシとファムランはしばらくじっと二人の話を聞いていたものの、もちろん難しくって理解できない。 
退屈そうな二人にシドが気づいた。
「あぁ、悪かったね、ファムラン。 カカシ君とプールでも入って遊んでおいで。 パパ達はここでお話してるから」
「うん! カカシ〜 プールに行こう!」
「えっ、うん、先生、いいの?」
「カカシ、いってらっしゃい」

カカシは自分のリュックを持って立ち上がった。
「どこまで行くの?」
「えっ、すぐそこ! お庭にあるんだよ」

ファムランがカカシの手を引っ張っていったところは、滑り台まで付いてびっくりする程豪華なプールだった。
小さなビニールプールを想像していたカカシは驚いてしまった。
「凄いね〜 お家にこんな大きなプールがあるなんて、初めて見たよ」
 
二人は早速水着に着替えた。
「ファムランはもう泳げるの?」
「ううん、まだ、これがないとね」
ファムランは浮き輪にくぐり、ちゃぽんとプールに飛び込んだ。
「オレが教えてあげようか?」
「カカシはいっぱい泳げるの?」
「うん、いくらでも泳げるよ! 深く潜ることもできるし。 任せて!」


カカシはすいすい泳いで見せてあげた。 流れるように綺麗なフォームで泳ぐカカシにファムランはうっとりと見惚れた。
一度上がり、浮き輪を外しぽんと投げた。
「カカシ〜 ぼく、がんばるから教えて!」
プールサイドに掴まりながら、そっと顔を水に付ける。足をバタバタさせて必死に泳ぐ練習をしている。 
そんなファムランが可愛くて、カカシも優しくアドバイスしてあげた。
「うん、上手だよ! ファムラン、その調子!」
今度はカカシが手を握りながら、ゆっくりと泳がせてみた。
息をパクパクと吸いながら、もがくように泳いでいる。
カカシはそっと手を離した。
2〜3メートル進んで、溺れてしまった。
カカシがすぐに抱き上げてあげる。
「わ〜 ファムラン、今泳げたよ! すご〜い!」
「ホントに? もう1回やってみる」
何回か繰り返し、少しずつ泳げるようになった。 ファムランは嬉しくてしょうがない。
「少し休もうね」
二人して、プールサイドに上がった。 ファムランはにこにこ顔でカカシに話かけてくる。
「パパ、びっくりするだろな〜 ぼくのパパはお仕事が忙しいから、一緒に泳いでくれる時間がなくって。
 カカシは泳ぐのとっても上手だね。 誰に教わったの?」
「うん、一緒にいた人がオレの先生。 先生は凄い人なんだ。 泳ぎも、忍術も、何でも先生が教えてくれるんだよ!」
「センセイ? ニンジュツ?」
「ファムランも大きくなったら、学校に行くだろ? そこで、勉強とか教えてくれる人のこと先生って言うんだよ! 
えっと、忍術は、こっちでは何て言うのかな? あとで先生に聞いておくね」

カカシとファムラン、子ども同士もすっかり打ち解けて、また楽しく水遊びをした。
しばらくして、プールから上がり、今度はテラスで絵本を読み、互いの国の話をした。
「カカシは何か本持ってきてないの?」
「あぁ・・・どうかな〜」
カカシはリュックの中をごそごそと探してみたが、ファムランが読めそうな本は入ってなかった。
「あれ、何でこんなところに先生の本が・・・?」
慌てて荷造りしたミナトが間違えてカカシのリュックに入れてしまったようだ。
カカシが取り出したものは、ミナトの愛読書、ミナトの師匠自来也が書いた官能小説だった。
「あ〜 それでいいよ! 見せて?」
ファムランがぱっとカカシの手から取り上げる。
ぱらぱらとページを捲ってみるものの、もちろんファムランには読めない。
「カカシ、何て書いてあるの? 読んでよ!」
日頃、ミナトがそれを読んでいる時、カカシが覗こうとすると、
「カカシはまだ、ダ〜メ!」と言って、閉じられてしまうのだ。
でも、いつもミナトが何やら嬉しそうな顔をして読んでいるので、内容がとても気になっていたのだ。
カカシは声を出さずに、少し読んでみた。

でも、難しくって意味が分からなかった。

「ごめん、ファムラン、これ先生の本だから、難しくってオレにも読めないよ」
「そっか・・・」

しばらく、話をしていたものの、泳ぎ疲れたのか、そのまま二人は寝てしまった。

話に夢中になっていた大人二人が、子ども達の声が聞こえなくなったことに気付き、そっとテラスを覗くと、まるで天使のような寝顔ですやすやと寝息をたてて、二人共寝ていた。
シドとミナトは顔を見合わせ笑い、そっと子ども達を抱き上げた。
シドはファムランの部屋に案内し、ファムランのベッドに二人を寝かせた。

「酒でも飲みながら、続きをどうだね?」
「えぇ、今度はミストとチャクラの話をしましょう!」

すっかり、意気投合した二人は、お酒を飲みながら深夜まで熱く語り合った。






written by あっきぃ
painted by gule-nana




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