SSSランク任務 (バシュバル+アルシド+???) 第4話

「わ!ヤバイ!もしかして、オレ・・・寝ちゃったの?」

ガバッと起き上がると、エステルームには、もう誰もいなかった。
「どうしよう・・・もう、終わってるんだよね? このまま、待ってた方がいいのかな?
 それとも、着替えて、出て行った方がいいかな・・・?」

カカシが、迷っていると、コンコンとドアがノックされた。

「カカシさん、お目覚めですか? そこに置いてある服に着替えて、こちらにお越しください」
と、アルシドの声が聞こえた。
ベッドの横には、服が畳まれて置いてあった。

「これか」

カカシが、シャツを手に取ると・・・
「はぁっ!? こ・・・これを着ろと・・・」
ど派手なフリルが付いた白いシルクのシャツに黒いぴっちりとしたレザーパンツ。
カカシは服を手にしたまま、呆然となった。
「無理・・・これを着るくらいなら、バスローブのままでいた方がよっぽどましだよ!
 どうしよう・・・」
カカシが戸惑って、着替えられないでいると、まるで、カカシを見ているかのように、アルシドの声が聞こえた。

「カカシさん、今晩は、もうどこへも出ませんから。
 夕食もこの部屋に運ばせますので。どうぞ、恥ずかしがらずに、その服をお召しくださいね」

(はぁぁぁ・・・何でこんなことに・・・)
カカシは大きな溜息をついた。
(仕方ない・・・任務・・・任務だよね)

任務、任務と呪文のように何度も自分に言い聞かせ、カカシはやっと覚悟を決めた。
この先、いったい、何度この言葉を自分に言うのだろうと思うと、ちょっぴり、というか、かなり切なくなった。
カカシはやけくそになって、フリフリの白いシャツと黒いレザーパンツを身に着け、何も考えないようにして、思い切ってドアを勢いよく開けた。

「おおお〜ワンダフル!マイ・スィートハニー!
 私の思った通り、カカシさんは、何を着てもお似合いですね〜
 お肌もつるつるになって、益々お美しくなられた」
カカシは、顔を真っ赤にして、立ち尽くしている。
「さぁ、そんなところに立ってないで、こちらにお座りください。
 夕食の前に、少し仕事の打ち合わせをしたいのです」

カカシは、アルシドの向かい側のソファーに腰を降ろした。
肌触りは良いのに、何だか、着心地の悪い服を着て、妙な感覚がする。
こんな服を着て、外を歩けと言われたらどうしよう・・・
気が散って、任務に集中できないかもしれない。
うん、外に出るのは、断ろう、絶対に。
と、カカシは一人で頷いた。

「折角、カカシさんと二人で食事で出来るんですからねぇ。仕事の話をするなんて無粋なことはしたくありませんのでね」
アルシドが、パチンと指を鳴らすと、美人秘書が、さっと、カカシの前に、資料を置いた。

「実は、明日、大きな取引があるのですが。
 それが・・・初めての取引相手なもので、しかも、取り寄せたデーターがどうも信用出来なくて。
 上手くいくか、ちょっと心配をしていたのです。
 そこで、今日、カカシさんにお会いすることが出来て、もう、これは、カカシさんに護衛をお頼みするしかないと、感じました。
 どうぞ、資料をご覧になってください。
 取引相手はカカシさんの国の方なんですよ。私の得た情報が確かなら、とんでもなく恐ろしい方のようなんです。
 まるで、悪魔のような・・・という、伝説があるらしいのですが。
 実は、その取引というのは、ある土地の譲渡なんですがね。
 色々と訳ありな土地で、こちらの国では、どんなに価格を下げても買い手が全然付かなかったんですよ。
 ところが、突然、そのお方から、提示額の倍もの値段で買取りたいとの申し出があり。
 どうも、匂うなと思いませんか。何か、裏がありますよね。そうでなきゃ、こんな額で買い取るはずがない。
 ま、どんな裏があるのか、興味が出たので、とりあえず、会ってみることにしました。
 あなたの国の影のドンとやらにね」

カカシは、渡された資料に書かれたその名前を読み、
「あっ!」
と、思わず声をあげてしまった。

「おや、やはり、ご存知でしたか?裏の世界では、名前の通ったお方のようですね」
「えぇ、存じ上げております。7〜8年程前に、何度か指名されて、護衛任務を受けたことがありますので。
 その頃は、まだ、彼も若く、敵も多かったので、大事な取引の時は、かなり慎重で、厳重な護衛体制を布いていました。
 その後、立派なボディガードが付いたらしく、私も呼ばれることはなくなってしまったのですが。懐かしいなぁ、
 ご安心ください。筋はきっちり通す人なので、人望も厚く、誰からも慕われています。
 アルシドさんの情報がどういうものだったかわかりませんが、心配することはありません。
 信頼できるお方ですので」
「そうでしたか、カカシさんにそう言っていただけるなら、間違いないですね。
 安心しました。きっと、取引も上手くいく。アポは、午後3時です。
 取引がスムーズに行ったら、そのまま、一緒にディナーを取る予定になっています。
 もう、これ以上、打ち合わせもする必要もないですね。さぁ、食事にしましょう」

ダイニングに移ると、豪華な食事と最上級のお酒が次から次へと運ばれて、あっという間にテーブルの上が埋め尽くされていった。
アルシドは、ロザリアの歴史から、マルガラス家の話を散々した後、今度は、カカシのことから、日本の歴史まで、あれこれと幅広く、カカシを質問攻めにした。
カカシは、折角の美味しい料理を味わう余裕もなく、必死に答えた。
任務、任務と、もう何十回言い聞かせた言葉をひたすら繰り返しながら、営業スマイルを振り撒いた。
後半は、カカシもやけくそになり、酒でも飲まないとやってられないと、普段は決して飲めないような上等なお酒をガンガン飲んでしまった。
ヤバイと思った時には、意識が朦朧としていた。
アルシドは、そんなカカシを微笑ましく見つめた。

「そろそろ、おやすみになられた方が宜しいかもしれませんね。
 大丈夫ですか? 私がお部屋までお運びしましょうか?」
「はぁ・・・らいじょうぶれす・・・あるけましゅか・・・ら・・・」
何とか立ち上がったものの、足元がふらついて、カカシはそれ以上歩けなかった。
「あらら、危ないですよ。やはり、私が」

アルシドが、カカシの腰に触れようとしたその瞬間。

ビリリリリリリ!!!

と、一筋の黄色い閃光がアルシドの掌に放たれた。

「いっ・・・つぅぅ・・・」

「しちゅれいしまっしゅ。おやちゅみなしゃぁ〜い」

そして、カカシはよろよろと歩き出し、隣のゲストルームへと消えて行った。

「何だったのだろう・・・さっきの光は・・・?
 さすがに、忍たるもの、酔った時でも己の身は守れるのか・・・
 そう簡単に隙は見せてくれないものですねぇ」

アルシドは、残念そうにふっと笑い、自分のベッドルームに入って行った。

※文中ではフリルのシャツは白でしたが、のりのりで色塗ってたらピンクになってた(あは)アルシドが悪いんだよぅーw



written by あっきぃ
painted by gule-nana




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