SSSランク任務 (バシュバル+アルシド+???) 第2話

それからしばらくは、和やかに会食も進んだ。
アルシドが相変わらず機関銃の様に一人で喋り捲っている。
カカシは、「そうですね〜」とか、「それは素晴らしいですね!」とか、律儀に相槌を打ち、相手をしてあげている。
不貞腐れたままのバルフレアをバッシュが隣で突くものの、バルフレアはアルシドとは一切口をきかない。

「カカシ〜そんなにハイハイ言って、アイツの言うこと聞いてると、とんでもないことになるぜ〜」 
バルフレアは秘書の方をじろりと睨み、カカシに忠告した。
「バルフレア!アルシド皇子に失礼なことを」
バッシュが慌ててバルフレアの耳元で囁いたが、バルフレアは平気な顔でワインを飲んでいる。
「いいんですよ、バッシュさん。あぁは言っても、ね・・・」
今まで、アルシドに散々振り回されても、文句を言いつつ、バルフレアはアルシドのために動くことをラーサーもアルシドもちゃんと知っているのだ。
そして、口が悪いのは照れ隠しなのも知っている。

カカシも、最初のうちは、国賓相手にこんな口の聞き方でいいのだろうかと思ったが、話している内に、皆の関係が何となく分かってきた。
大きな闘いがあったことは聞いている。ここにいる皆は身分の壁を取り払い、困難を共に乗り越えた同志なのだろうと感じられた。

突然、秘書がアルシドの元へ近寄り、1枚のペーパーをさっと渡した。
アルシドはそれを読み、にんまりと笑った。

「カカシさん、お食事中失礼ですが、只今、木ノ葉隠れの里の綱手様に任務の依頼をしましたところ、快くお引き受けいただきました。これが任務依頼書です、ご確認ください」
秘書から、カカシの手に依頼書が渡された。
そこには・・・

「SSSランク任務依頼書
 はたけカカシ  アルシド・マルガラス氏のアルケイディス滞在中の護衛を命ず
                             五代目火影 綱手」

と、書かれていた。

「えぇぇ〜!?」
隣で覗きこんでいた、バルフレアも、
「はぁ〜!?」
二人同時に大声で叫んだ。
「カカシはこれからオレとバカンスって言っただろ!
 てめぇには立派な護衛がたくさん付いているじゃねぇか!」
バルフレアは、アルシドの秘書が実は女装しているが武術に優れた男性SPだという事も知っている。
「綱手様・・・きっと大金に目が眩んだな・・・オレ・・・売られたのか?」
「期間はこちらで決めることになってますから。もちろん、カカシさんのバカンスも含めての契約ですから、ご心配なく」
アルシドは嬉しそうにカカシを見つめる。
「先に、バルフレア君とバカンスを過ごしてから、私の護衛でも構いませんよ」


カカシは、はぁと溜息を吐いて、がっくりと肩を落とした。

「どうしよう・・・バル」
「だから、さっき言っただろ。こいつはろくでもない奴なんだ。
 ったく、面倒なお守は先にとっとと終わらせて、後からのんびり休もうぜ」
「ん・・・そうだね・・・」
「うわ〜羨ましいな〜アルシドさん、こんなにお強い方が護衛に付いてくださるなんて!
 何の心配もいりませんね」
ラーサー陛下は楽しそうに、笑って頷いた。

そんなこんなで、あっという間にカカシはアルシドの護衛の任務に就くことになってしまった。アルシドという男は、美しいもののためならお金は惜しまない。
きっと護衛と言いつつ、カカシを買い物に付き合わせ、自分の好みのものをたくさん買い与え、着せ替え人形の様に着飾っては楽しむという、そんな任務になるのだろう。
もちろん、バルフレアも過去に散々そのような目に合っている。

会食も終わり、席を外す時に、バルフレアはアルシドの元に歩み寄り、耳元でこそっと囁いた。
「てめえがまさか・・・そんなマヌケな奴だとは思ってないが、念のために忠告しておいてやる。カカシにもしも・・・手なんか出したら、命は無いものと思えよ!」
そう言って、バルフレアは、アルシドをじろりと睨んだ。
「ははは〜ご心配なく。いくら何でもあなたのお友達にそのようなことは・・・」
「カカシにはな、この世で最強の忍・伝説の黄色い閃光がついているんだ。カカシの身に危険が迫ったら、いつでもどこでもすっ飛んで来るお方がいらっしゃるんだよ!覚えておけよ!」
「はいはい、誓ってそのようなことは。では、どうです? たまには・・・」
アルシドはうっとりとした怪しい目つきでバルフレアを見つめた。
「ば〜か!オレにだって、あのデカイ忠犬がついてるんだからな! 噛まれたら痛いぞ〜 じゃあな」
バルフレアはカカシの肩をぽんと叩いた。
「カカシ、頑張れよ〜」
「ちょっ、バル〜待ってよぉ〜」
「だって、任務だろ。終わったら連絡よこせよ。迎えに行ってやるからな」
「ひっど〜!ずるいよぉ〜オレだけ?そんな・・・」

バルフレアは、ひらりと手を振りながら、部屋を後にした。

さてさて、一人残されたカカシの運命はいかに・・・!?







written by あっきぃ
painted by gule-nana




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